離婚時の慰謝料の種類、どんな時に慰謝料が請求できる?
今回は、離婚時に支払われる慰謝料の基礎知識について簡単に解説していきます。
「浮気された」「離婚を考えている」という方は、本記事をぜひ参考にしてみてください。
離婚時に支払われる慰謝料って何?
離婚時に支払われる慰謝料とは、婚姻生活中に負った精神的苦痛に対して支払われるお金のことです。
相手から与えられた精神的な苦痛に対する損害賠償、とも言い換えることができます。
慰謝料は、離婚すれば必ず発生する、という類のものではありません。
離婚に至る重大な原因を作り、配偶者に精神的苦痛を負わせた側の人が、精神的苦痛を被った側に対して支払うものが慰謝料です。
離婚時に慰謝料を請求して支払いを受けられる可能性が高いケースとは?
次に、離婚時に慰謝料を請求して、支払いを受けられる可能性が高い7つのケースについて見ていきましょう。1. 配偶者へのDV
DVとは、ドメスティック・バイオレンスの略で、家庭内暴力のことです。
DVは、かつては、ただの夫婦喧嘩だ、とみなされてきましたが、法改正によりDV防止法などができたこともあり、DVは喧嘩ではなく暴力であり犯罪である、と捉えられるようになってきました。
DVを受けた相手は、体の傷のみならず、激しい、もしかしたら一生消えない心の傷を負います。
そういった心の傷の償いとして、慰謝料の支払いを求めることができます。
2. 子どもへのDV
配偶者間の暴力だけではなく、子供に対する暴力でも慰謝料請求は可能です。苦痛を受けたのは子どもであり、子どもがまだ未成年である場合は、法定代理人として加害者である夫もしくは妻へ慰謝料を請求することができるでしょう。
3. モラルハラスメント
モラルハラスメント、略してモラハラは、最近ぐんぐん認知度を高めている言葉です。
モラハラとは、精神的暴力のことです。言葉や行動で相手に恐怖を与え、追い詰めることで、相手の言動を支配しようとすることを言います。
例えば、相手を欠点をあげつらう発言を繰り返し責め立て続ける、人格を否定する、気に入らないことがあれば大きな音を立てて威圧する、などが挙げられます。モラハラはDVと同様に、受けた相手に甚大な心の傷を負わせる行為です。
そのため、モラハラを受けたという証拠があれば、慰謝料請求は可能になります。
4. 経済DV
専業主婦(夫)家庭なのに、収入を渡そうとしない、などの場合、経済的DVにあたります。
夫婦には相互扶助義務があるのにも関わらず、その義務を果たしていない、ということで離婚の理由になり得る行為ですし、ひどい場合は、慰謝料請求の対象になります。
5. 一方的な婚姻関係の放棄(悪意の遺棄)
婚姻関係が破綻すると分かっていながら、正当な理由もなく別居を始める、家にお金を入れない、など、話し合いももたずに一方的に結婚という契約を破棄し、夫婦で助け合う義務を果たさないことを、悪意の遺棄と呼びます。
悪意の遺棄は慰謝料請求の対象となりえます。
6. 長期に及ぶセックスレス
正当な理由のない長期にわたるセックスレスも、慰謝料請求の対象となる場合があります。
セックスレスが精神的に苦痛と感じていた、という場合です。
7. 不貞行為
不貞行為(肉体関係を伴う不倫、浮気)は、民法に定められる不法行為です。
こちらで気をつけるポイントは、時効が経過していないかどうかです。
時効でない限りは基本的に慰謝料請求の対象となります。不貞行為の時効は、不貞を知ってから3年、不貞行為から20年です。
慰謝料の請求が認められない可能性が高いケースとは?
ここまで、慰謝料請求が認められるケースについて解説してきました。
次に、認められないケースについても紹介しておきます。認められないケースはおもに2パターンです。
1. 婚姻関係が破綻していた
上記の支払いを受けられる事項が発生するよりも前に、すでに夫婦関係が成り立っていなかった場合です。
例えばやむを得ない理由ではない別居を長期間していた背景があり、それから浮気を始めたといった場合。その不貞を理由には慰謝料を請求できない可能性が高いでしょう。
2. 夫婦双方に有責となる事項がない、もしくは双方に有責となる事項がある
お互いに落ち度もなく離婚を決断した場合も、どちらかが慰謝料を請求しても受け入れられないでしょう。
また、どちらも同等の有責事項があった場合も慰謝料の請求は認められにくいでしょう。
婚姻生活に著しく苦痛を感じたら慰謝料の請求を考えましょう
婚姻生活を送るうえで相手が「協力義務」を怠っている、暴力をふるわれたり、人間性を批判されたり、お金を取られたりしていてとても辛く、苦しい。そういった離婚においては慰謝料の請求を行うのが妥当でしょう。
ですが、日本の離婚をする夫婦の離婚理由として多いのは「性格の不一致」です。その場合は、どちらか一方だけに責任があるというわけではありません。つまり慰謝料が発生しない離婚がほとんどなのです。
離婚を考えている方は、自分が置かれている状況を冷静に鑑みて、慰謝料の請求に値するかどうかを判断しましょう。判断を迷う場合は弁護士や離婚についての法律に明るい相談所などで、相談をしてみると良いでしょう。