財産分与とは?財産分与の4つの種類
財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で協力して築き上げた財産を、離婚の際に分配することを指します。
通常、婚姻期間中にふたりで築き上げた財産は、きっちり二等分されますが、それぞれの貢献度を考慮して決められることもあります。
財産分与には大きくわけて4つの種類があります。
以降でそれぞれについて解説していきます。
1. 清算的財産分与
財産分与においてもっともメジャーな考え方は、清算的財産分与です。
清算的財産分与は、「結婚している間に協力して築き上げた財産については、名義がどちらになっているかにかかわらず夫婦の共有財産だとみなし、それぞれ貢献度に応じて公平に分配すべき」という考え方です。
清算的財産分与においては、離婚の原因がどちらにあるか、は考慮しません。
そのため、不倫をして結婚生活を破綻させた側でもきっちりと財産分与を受けることができます。
2. 扶養的財産分与
扶養的財産分与とは、離婚して、一方が生活に困窮する可能性がある、などの事情が考えられる場合、その一方の生活を支えるという扶養的な目的により財産が分与されることを指します。
どちらかが病気で働けなかったり、ながらく専業主婦(夫)をしていたり、高齢だったりする場合には、扶養的財産分与が認められる場合もあります。
扶養的財産分与は、経済的立場の強い側が、弱い側に支払う形での財産分与だといえます。
3. 慰謝料的財産分与
離婚する際にどちらかに非がある場合は、慰謝料が発生するケースがあります。
通常は慰謝料は財産分与とは分けて考えられるのですが、両方ともお金のやりとりという点では変わりません。
そのため、慰謝料と財産分与を明確に区別せずに、まとめて財産分与として請求・支払いをすることもあります。
この場合の財産分与は、慰謝料の意味も含んでいるという意図があるため、扶養的財産分与と呼ばれているのです。
4. 財産分与における婚姻費用の清算
さて、こちらは少し毛色の違う財産分与です。
婚姻期間中、夫婦はお互いの生活に必要な費用を分担し合う義務があります。
この生活に必要な費用を婚姻費用と呼びます。
婚姻費用の分担義務は法律に定められており、これは別居期間中も変わりません。
別居して生計が別れた場合、夫婦のうち収入の多い方が、収入の少ない方に婚姻費用の負担分を支払うことになります。
この婚姻費用に未払いがあるとき、それも考慮した上で財産分与の額、及び方法を決めるよう言い渡した判例があります(昭和53年11月14日最高裁 昭和53(オ)706)。
この見解のもと、財産分与の際に婚姻費用の未払い分を考慮した決定がなされることがあるのです。
ただしあくまで「考慮される」ものであり、すべての未払いが清算されるとは限りません。
そのため、財産分与での清算はあまりアテにせず、婚姻費用は都度請求しておくほうが良いでしょう。
財産分与と無関係な離婚はほとんどない
財産分与は、婚姻期間中に築き上げた夫婦の財産を公平に分けるためのものです。
夫婦の共有財産がまったくない、という状況はほとんどありませんから、離婚をする際に避けて通れないものでもあります。
離婚の際にはしばしば争いになるものですし、知識なく協議の席についてしまうと、相手の都合の良いように誘導されてしまう可能性も捨てきれません。
基礎的な知識をつけた上で、専門家への相談も検討してみることをおすすめします。